口腔内腫瘍

歯肉や舌、口の粘膜などに出来る腫瘍です。犬の口腔内腫瘍は腫瘍の約 4%を占めますが、その約 90%は悪性腫瘍で、悪性メラノーマ(黒色腫)、扁平上皮癌、線維肉腫の順に多いとされています。猫においては扁平上皮癌が最も多く発生します。

症状

腫瘤の発見以外に、口臭、流涎、口からの出血(時に鼻出血)、食べ方の変化、嚥下困難、体重の減少などが一般的です。

診断

まずは、口腔内の観察にて歯周病等の口腔内腫瘍と似たような症状を示す病気(鑑別疾患)がないか調べます。続いて腫瘤のFNA(針吸引生検)により細胞診断を行ったり、麻酔下で組織生検をし病理組織学的検査を行う事で診断します。

口腔内腫瘍と似たような症状を示す病気

  • 歯肉過形成
  • 重度の歯周炎、口内炎
  • 骨髄炎
  • 根尖周囲膿瘍
  • 歯原性嚢胞
  • 肉芽腫性炎

臨床ステージング

リンパ節転移の有無を領域リンパ節の触診および細胞診にて、肺転移の有無を胸部X線検査にて確認します。また CT 検査を行い、手術の範囲を判断することができます。

治療

第一に根治を目的とした外科的治療を行います。周囲の組織や顎骨に浸潤している場合は、周囲組織や顎骨を含めた切除を行います。部位や病期の進行により手術が不適応になる場合もあります。手術後や手術が適応できなかった場合は放射線治療や化学療法(抗がん剤)を行います。化学療法単独の治療では、口腔内腫瘍の局所コントロールはできず、生存期間を延ばすことは困難です。

主な腫瘍疾患