膀胱腫瘍

膀胱腫瘍は尿路系の腫瘍の中で最も多く見られる腫瘍で、オスよりもメスに多く、高齢で発生します。犬では尿道の入口近くの膀胱三角という部分に発生しやすいとされています。好発犬種としては、スコティッシュテリア、ビーグル、シェットランドシープドッグなどが挙げられます。

症状

血尿をしたり、何度も排尿したりする様子が見られます。膀胱炎の症状と一致するため、膀胱炎がなかなか治らない場合などは検査が必要です。

診断

膀胱腫瘍があるかどうかは、超音波検査により膀胱の中を観察することで診断します。超音波検査で膀胱内に腫瘍らしきかたまりが見つかった場合には、尿道カテーテルを挿入して病変の組織を吸引し、診断材料を採取します。全身麻酔下にて膀胱を切開し直接生検を行うこともあります。以上の検査所見を基に、膀胱腫瘍に対して以下の臨床ステージングシステムが用いられます。

T:原発性腫瘍N:局所リンパ節M:遠隔転移
 T0:腫瘍の証拠なしNo:転移なしM0:遠隔転移なし
Tis:上皮内に限局(非浸潤性)N1:領域リンパ節への波及M1:遠隔転移あり
T1:表在性乳頭状腫瘍 N2:領域リンパ節と領域リンパ節近隣のリンパ節への波及
T2:膀胱壁に浸潤
T3:隣接臓器に浸潤

治療

可能な場合は外科的切除を行います。外科手術には、膀胱部分切除術、膀胱全摘出術および尿路変更術、膀胱瘻チューブ設置術、尿管ステントおよび尿道ステント設置術などがあり、目的に応じて選択します。外科手術が適応とならない場合は化学療法、抗炎症薬(NSAID)などの内科的治療を行います。

主な腫瘍疾患