猫の乳腺腫瘍

猫の皮膚腫瘍の中で 3 番目に発生が多く、犬とは異なり、約 80~90%が悪性とされています。そのため小さなしこりでも注意が必要です。避妊手術を実施していない猫でより一般的に発生します。

診断

視診と触診を行います。乳腺腫瘍と領域リンパ節転移の診断には、FNA(針吸引生検)が奨められます。細胞診では、良性腫瘍と悪性腫瘍を鑑別することはできません。

臨床ステージング

最も一般的な転移部位は、領域リンパ節と肺です。領域リンパ節は必ず触診を実施し、可能であればFNA(針吸引生検)を実施します。胸部X線検査あるいは CT が肺転移の有無を確認するために実施されます。

治療

第一選択は外科切除です。腫瘍の大きさに関わらず、積極的な切除(両側乳腺切除)が奨められます。化学療法の必要性は、病理組織学的検査所見により決定されます。

予後

猫の乳腺腫瘍に関する予後因子としては、臨床ステージ(腫瘍の大きさと転移性疾患)、外科手術の範囲、組織学的グレードなどがあります。ステージ 1 の腫瘍の猫(腫瘍の直径<2cm)は、ステージ 2(腫瘍の直径 2-3cm)およびステージ 3(腫瘍の直径>3cm)の腫瘍の猫より予後が良く、中央生存期間は、ステージ 1 の乳腺腫瘍では>36 ヶ月、ステージ 2 の腫瘍では 24 ヶ月、ステージ 3 の腫瘍では 6 ヶ月です。

主な腫瘍疾患